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ヨーガの病気治療への応用

Dr. R. ナガラートナ (スワミ・ヴィヴェーカナンダ・ヨーガ研究財団)これは2000年10月に東京都目黒区こまばエミナースで行われた日本アーユルヴェーダ学会第22回研究総会のヨーガ・シンポジウムで発表されたものです。

抄録: 現代医学はその基本原理の合理性ゆえに、地球上のあらゆる場所で伝統医学に取って替わった。しかし現代医学は今日、ストレス関連の疾患が急速に増大するという困難な事態に直面している。こうした事態の解決策としてヨーガは、現代医学に対してきわめて重要な助けの手をさしのべられるようになったのである。 
種々のヨーガの分野が健康増進や病気治療に如何に関係するかを研究した多くの論文が、これまでに発表されてきている。そこで私たちはこれらの研究論文を以下の二つの種類に分けて見てみたいと思う。(a)社会復帰の手段としてはもちろん、病気治療のためにヨーガを活用する。(b)ヨーガを人間の持つ肉体的側面や精神的、社会的、更には宗教的側面に関連させて、その健やかさを促進させるように活用する。  


呼吸器系アレルギー疾患に対するヨーガ
  
種々の否定的な感情や心理的な因子などが喘息に関連していることが報告されている(フリードマン1984 ; カルスウェル1985 ; カールソン1992)。 アレクサンダー(1972)は、種々の感情が優位に作用しているような子供の喘息患者を被験者として、系統的にリラックスさせることがピークフロー・レイトに影響を与えることを実証した。 
ガヤシ(1982)は統合的なヨーガは、喘息患者に効果的に働くことを報告している。シンら(1990)は、中等度の18名の喘息患者たちに2週間にわたりヨーガの調気法(プラーナーヤーマ)を実習させて、その効果をピンク・シティー・ラング・エクササイザー(PCL)と呼ばれる装置を使って測定した。 53組の喘息患者に3~54ヶ月にわたって我々が施したヨーガ・セラピー治療の対照研究によれば、肺の機能が向上すると同時に、症状の緩和と投薬量の減少を確認している(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル1985)。
さらに、毎日欠かさずヨーガ・セラピーを実習している570人の喘息患者の場合は、最大の治療効果を得ることを確認した。急性の喘息発作時にあっても、ヨーギック・チェアー・ブリージング技法は、患者がパニックに陥るのを防ぐと同時に、吸入麻酔器に頼る回数を減らすことができた。 
ヴェダンタンら(1998)は、ある大学病院において19~52歳までの17名の被験者を使い、ヨーガ・セラピーの効果を調べている。


不安神経症に対するヨーガ 

各種アーサナやシャヴァ・アーサナ、プラーナーヤーマ、瞑想といった各種ヨーガ技法は、有名なワラセ(1970)によるプログレッシヴ・マスキュラー・リラクゼーション法やバイオフィードバック法など多くの行動修正技法と並んで、リラクゼーション技法として認められるようになっている。
 タリエルとマイン(1986)は、蛇恐怖症などの認知性の神経症と、咬爪症、抜毛症などの身体性の神経症、更にはパニック発作、その他の不安神経症に対して、録音された種々の指導や種々に変えられたリラクゼーション技法など、いろいろな種類の筋肉をリラックスさせるタイプのリラクゼーション技法の効果の比較研究を行っている。  
 クライサン(1988)は、通常の不安神経症患者19名に対して8週間にわたりプラーナーヤーマを実習させることで、マックス・ハミルトン不安指数の減少を確認しているが、その他にも一般的健康問診票を使っての調査や、心拍数、尿中VMA値、それに皮膚電気抵抗値などを測定している。


糖尿病に対するヨーガ 

録音されている声の指導を使ったり、バイオフィードバック法を使用しての種々のリラクゼーション療法は、糖尿病治療において有効であるという報告がなされている(マクグラディーら1991)。ジョブソンら(1991)が行った比較研究によれば、生理学的な弛緩状態(筋肉活動の低下、皮膚電気抵抗値の低下)が生じている上に、さらに連続して週に一度のリラクゼーション技法訓練とバイオフィードバックの訓練をさせても、20人のタイプ?Uの糖尿病患者の症状を改善するには至らなかった。 
モンローら(1992)は、21名のNIDDM(インスリン非依存性糖尿病)患者に対する研究を行っている。それによれば、ヨーガの実習をしない10名の対照患者と統合的ヨーガを実習している11名の患者との比較において、ヨーガ実習者たちの空腹時血糖とHbAIC値が顕著(p < 0.05)に減少した。

高血圧とヨーガ 

デテイとそのスタッフたち(1969)は、医師の治療を受けていない中等度の高血圧症患者たちを対象にしてシャヴァ・アーサナを実習させた時の治療の有効性を報告している。パテル(1973,75)は、年単位の長期にわたる対照研究において中等度の高血圧症に対するシャヴァ・アーサナの有効性について報告している。23名の高血圧患者を被験者として行われたサッチデーヴァら(1994)の公開研究報告によれば、2ヶ月間にわたるヨーガ的な生活態度を遵守させることで、患者たちの収縮期血圧が134.5±16.01から125.1±9.88mmHgへと減少し、拡張期血圧も88.5±9.42から81.62±6.48mmHgへと減少したことを報告している。冠動脈性心疾患に対するヨーガ グリーンウッドら(1996)は文献を再調査し、社会的なサポートと生活上のストレスとのいずれが狭心症などの冠動脈性心疾患の発病率と死亡率に影響を及ぼすかを報告しているが、それによれば、前者よりも後者の方がより影響力があるとしている。 
オルニシュらの研究は、心臓病予防の医学において第一級の指標となっている。ゴウルド、オルニシュら(1995)は、5年間にわたり危険度の高い要素の変化を陽電子放出断層撮影法(PET)を使用して心筋の血流状態を観察してきた。それによれば、非常に体脂肪の少ない20人の被験者たちは、冠動脈造影法による血管狭窄率の観測結果が対照グループに比べて顕著に改善されたのが確認されている。
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