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ヨーガとは何か

 

第2の説明の仕方は人間を5つの鞘(さや/コーシャ)に包まれた存在と考えるものです。これは古来、人間五蔵(ごぞう/パンチャコーシャ)説と呼ばれていますが、これまた4000年以上も前から伝承されている奥義書タイッティリーヤ・ウパニシャッドの第3章には父親ヴァルナと真理を求める息子ブリグの会話として以下の人間構造が説かれています。
 

 ヴァルナの息子ブリグは、父のヴァルナのもとに行き「父上!私に絶対者ブラーフマン(梵)について教えてください」と言った。ヴァルナはブリグに対して・・「生きものがそこから生まれ、生きものがそれによって生き、死ぬ時にそれら生きものがその中に入いってゆくもの、それを悟れ。それが絶対者ブラーフマン(梵)である」とヴァルナは告げた。

息子ブリグは(熟慮の)苦行(タパス)を行じた。(熟慮の)苦行を行じた後に「絶対者ブラーフマンとは食物(アンナ)である。なぜなら、生きものは食物から生まれるからである。生まれたものは食物によって生き、生きものは死ぬと食物の中に入るからである」と、悟った。


斯くの如くに悟った後にブリグは、再び父ヴアルナのもとに行き「父上!更に私に絶対者ブラーフマンのことを教えてください」と告げた。父ヴァルナはブリグに対して「(熟慮の)苦行によって絶対者ブラーフマンを理解せよ。絶対者ブラーフマンは(熟慮の)苦行である」と告げた。
ブリグは(熟慮の)苦行を行じた。

(熟慮の)苦行を行じた後に「絶対者ブラーフマンは生気(息/プラーナ)である。なぜなら、生きものはまさに生気から生まれるからである。生まれたものは生気によって生き、生きものは死ぬと生気の中に入るからである」と、悟った。

こうして息子ブリグは熟慮の瞑想を行じつつ、次々と人間の5藏の構造を悟り、それを父ヴァルナに告げてゆくのです。
ブリグは「絶対者ブラーフマンは意思(マナ)である。なぜなら、生きものはまさに意思から生まれるからである。

生まれたものは意思によって生き、生きものは死ぬと意思の中に入るからである」と悟った。
ブリグは「絶対者ブラーフマンは相対的智慧(理智/知性/ヴィジュニャーナ)で

ある。なぜなら、生きものはまさに相対的智慧から生まれるからである。生まれたものは理智によって生き、生きものは死ぬと理智の中に入るからである」と悟った。
ブリグは「絶対者ブラーフマンは歓喜(アーナンダ)である。なぜなら、生きものは、まさに歓喜から生まれるからである。生まれたものは歓喜によって生き、生きものは死ぬと歓喜の中に入るからである」と、悟った。
これがヴァルナと息子ブリグの智慧であり、この智慧は天上界にあって最高と位置づけられ、この智慧を悟る者も最高位に位置づけられる。この者は食物を所有し、食物を食べる者になる。

多くの子孫や家畜を所有し、神聖なる智慧の輝きに恵まれて偉大になり、名声によっても偉大になる。 (タイッティリーヤ・ウパニシャッド第3章1~7節)

つまり、一個の人間は食物・生気・意思・理智・歓喜の五蔵(五つの鞘)の構造になっており、その最深部にはこれら五蔵を動かす動力源である真我(アートマン)が鎮座されているという人間五蔵説をこの奥義書は明らかにしています 。

伝統的ヨーガの世界ではヨーガ行者が自己制御法を身につけるには、これら10頭立ての馬車と人間五蔵説の両説を念頭において、自制の日々を送ることになるのですが、両説は共通の事実を解説しているに過ぎません。

即ち、馬車の車体は食物鞘と生気鞘、10頭の馬たちと手綱は意思鞘、御者が理智鞘、その後ろに控える心理器官である我執と心素が歓喜鞘、そして車主が五蔵の中心に鎮座される真我(アートマン)となるのです。

こうした人間構造を頭に入れて、あなたはいよいよ自己制御の道に歩みを進めることになるのです。

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