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ヨーガと医学の秘密

*ヨーガと医学って両立するの?

ここではヨーガと医学の古くて新しい結びつきについてお話します。
今年の2月、私は27年ぶりに、若かりし頃のインドの友人に、ムンバイ(つい最近までボンベイと呼ばれていた、インドの西海岸、マハラシトラ州にあるイ ンド商業の中心都市)のホテルで再会しました。その友人、プラカシ君とは、私たちが互いにまだ20歳代の頃に、共にマハラシトラ州にあるヨーガの研究所付 属のヨーガ大学で、約1年間机を並べた仲なのです。
 お互いに妻を紹介し終わった後、女性同士が服の話などしている間、私たちはしばし、互いに別れてからの 27年の間に互いの身に起きた様々な出来事に感心させられながら話しにふけりました。プラカシ君自身は、ヨーガ大学での過程を終えてから西洋医学を修め、 アメリカに渡って2年間の外科医としての研修を終えた後に、現在はインド中部のハイデラバードという街で心臓外科医として働いていました。しかし、週末は 自分が開設したヨーガ道場でヨーガの教えを伝えているとのことでした。プラカシ君の頭の中では、心臓外科医としての仕事とヨーガ教師としての仕事は、矛盾 することなく調和しているのでした。
 それというのも、ヨーガのあつかう分野には、人間の健康の実現という、医学と強く結びついた分野があるからなのです。 この分野のヨーガのことを世界的には英語で、ヨーガ・セラピーと呼んでいますし、諸々のヨーガのやり方を駆使して人々の健康増進の手助けをする専門家のこ とはヨーガ・セラピストと呼ばれている程、インドや西洋諸国ではヨーガと医学とは結びついているのです。ですから今やプラカシ君は、ヨーガ・セラピストと 心臓外科医の仕事を両立させて生活しているわけです。「こんな友が日本人の中にいたら良いのにな」と感じつつ、私たちは再会を約束して別れたのです。


*世界保健機関(WHO)が言う健康とは?

先日、日本のある老医師との会話の中で、「健康ってなに?」という話になった時の事です。この医師が、「いやー木村さん、困ったことになりました」と 言って話されたことによれば、国連の健康の問題を処理しているWHO(国際健康機関)がつい最近になって、「健康とは、肉体に病気がないという状態だけで なく、心の面でも、社会における人間関係の面でも健やかであるばかりでなく、スピリッチュアルにも健やかな状態を言う」と言い出したのだそうです。それで、長年にわたって大学で医学生の教育に携わり、臨床の現場でも長い経験を積んできているこの老医師も、この『スピリッチュアルな健康』にとまどいを隠せ なかったわけです。
 その老医師は「スピリッチュアルに健やかな人間を造ると言うことになると、もう私たちのような西洋医学の専門家は無理である。どうした ものやら?」とまじめに悩んでいました。この「スピリッチュアル」という英語の意味を私はこれまでに「宗教的に」と訳してきています。この言葉を「精神的 に」と訳すと、WHOは既に「メンタル」という言葉を使って「こころの面で」の健康という意味を伝えようとしているのですから、スピリッチュアルという言 葉が「精神的に」という意味にはならないのは明らかです。そして残念ながら西洋医学の治療手段の中には、人間をこの「宗教的(スピリッチュアル)に健やか にさせる」治療技術はないのです。
 しかし、ヨーガは昔からその技法を良く整備してきていますので、これらWHOが望む色々な次元の健やかさを実現できる種々の技法を昔から用意してきてい るのです。例えばこの、スピリッチュアルな健やかさを増進させ得るヨーガの技法には、人間の宗教的感性を豊かにさせてくれるヨーガの行法である「バク ティ・ヨーガ」と呼ばれる分野のヨーガがあります。ヨーガのこうした宗教的感性を養い育てる分野が昔からあったと言うことは、ヨーガ行者さんたちは、人間 が生きる上でどの様な能力を健やかに生かしつつ人生を送ればよいのか、良く理解していたのでしょう。そうだとすれば、昔からヨーガというものに関係してき た人間たちは、実に良く人の健康ということを考えてきていたと言えるわけです。しかし、こうしたヨーガによる健康の増進ということが、ヨーガ行者さんたち だけでなく、誰にでも分かる客観的な形で広く調査研究が行われるようになったのは、案外に最近の事で、今から76年前のある人物の動きからでた。

カイヴァルヤダーマ・ヨーガ研究所の歩み

先述したマハラシトラ州の州都ムンバイから北西に向けて車を走らせると、台地状になったデカン高原の上に出ます。この台地状の高原に出るまでの急坂を雨 期の時期に車で登ると、崖の上から幾筋もの滝が数百メートルの落差を持って流れ落ちる景観を楽しむことができます。この急坂を登りきった所にあるロナワラ 市に、今から76年前に、ヨーガの効用を医学的に究明する研究施設を造った人物がいました。この人物は国立教育大学の学長にまでなった人でしたが、その キャリヤの途中から、あるヨーガ行者の弟子となってヨーガを学び、大学における職務から身を引いた後は、このロナワラ市に「解脱の里」という意味の名前を 冠したヨーガ研究所を、世界で初めて創設したのでした。

その人物の名前はスワミ・クヴァラヤナンダ師と言い、1924年には、アメリカのエール大学の医学 者たちと行った共同研究の成果を、世界最初のヨーガと医学が結びついた研究報告として発表しています。

その後今日に至るまで、この研究所ではヨーガの医学的側面を研究し続けてきています。実は先述したプラカシ君と私とは、この研究所付属の大学で学んだ仲なのです。

 

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