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長い話になりましたが、私の師匠はこの様な生き方をした一人の聖者の話を私たちに語って下さったのです。文法学者でもあったカイヤク師でしたから、生徒 に言葉を教えることはあっても、いわれのない贈り物は一切受け取らないばかりか、貧乏ということすらも気にかけぬほどに、後世に役立つような書物を書き上 げていたわけです。

また、そうした学者であり行者に嫁していた女性にしても「自分の必要としているものは全て夫からいただいている」と明言できるほどに、 その夫の生き方に信頼を寄せていたわけです。現代社会に生きるあなたが、こうした行者夫婦の話をどの様に受け取られるか、それは自由です。しかし少なくと も、現代に生きるヨーガ行者たちは、こうした行者の生き方を自らの生活の手本として生きているからこそ、弟子の私たちにこの話を語られたのだと思うので す。

* 私の師匠の場合

かく言う私のヨーガの師匠スワミ・ヨーゲシヴァラナンダ大師にしても、99歳でお亡くなりになるまでの存命中はインド中に名前が知られていたヨーガ行者 でしたので、お金持ちが争ってお金を寄付しようとしていましたが、そうしたお金は一切個人としては受け取られずに、全て財団の講座に振り込ませていまし た。その資金で私たちのような外国人がヨーガを学ぶ時に宿泊できる施設が建てられていましたし、インド人ヨーガ修行者たちのための無料の食堂や診療施設も 運営されていました。
ですから、師匠がお亡くなりになられた時も、個人的な所持金は極僅かなものでしたし、その私物も身の回りの物だけでした。その上、全ての縁者とは関係を 絶った身よりもないヨーガ行者でしたから、残すべき財産もありませんでした。しかしその貴重なヨーガの智慧の遺産は世界中に伝えられて、現在でも多くの人 たちに役立てられているのです。
それは丁度、先のカイヤク師の著書が現在でも役立てられているのと同じなのです。
 ヨーガの智慧に触れた人々は、この様に世間の価値規準とはかなり違う価値観を持って生きているのがお分かり頂けたでしょうか。

* 元医師だったヨーガ行者の場合

私の師匠の道場のすぐ隣にも外国人を受け入れてくれるようなヨーガ道場がありますが、そこの創始者のヨーガ行者スワミ・シヴァナンダ大師も全くお金に惑わされない生き方をしたヨーガ行者でした。
元々若い時は西洋医学を学んでインド国外で働き、医師としての名声を博していたそうですが、まだ若かったある時に、自分の人生はこの様な富と名声を得る ことだけの為にあるのだろうかと考えて、インドに帰国してヒマラヤのガンジス河沿いにある小さな集落に居を定めて、ヨーガ修行を始めた人物でした。
その後ヨーガ行者として多くの若者たちにヨーガの智慧を伝えるようになられてからも、元医師であったからでしょう、ハンセン病患者の自立のための共同生 活施設を運営されたり、ヨーガ道場で製薬した伝統医薬を無料で配ったりされていましたし、その創始者亡き後の現在でも、そのヨーガ道場では毎週末毎に、ヒ マラヤ山中の無医村を巡回する医師団を編成して奉仕活動を行っているのです。 こうした行為や生き方を考えてみれば、個人における物心共の豊かさを求める 現代人の価値観とは少し違う生き方をそこに感じると思います。しかし、昨今のボランティアに生きる人たちの生き方にも通じる生き方もお感じになられるかも 知れません。

* ヨーガにも聖典があるの?
 

ヨー ガの歴史は4~5千年にもなりますので、当然その間に幾つものヨーガの本が書かれています。その内でも最も古いヨーガの本は、今から3千年近い昔から次々 と書かれました。それらの本は時代を経るごとに何冊も書かれたのですが、いずれも作者は不明です。しかしそれら同じ頃に書かれたヨーガの本は、まとめて 『ウパニシャッド聖典』と呼ばれています。
これらウパニシャド聖典群の内でも、今から3千年程前の最も古い時期に書かれた11冊の本だけは、特に古ウパニシャッド聖典と呼ばれています。例えばイ ンドに始まった仏教の教典は今から2千年程昔に書かれたものが一番古いと言われていますし、私たちになじみの深い法華経などの大乗仏教の教典群は今から 1800年ほど前にインドで書かれていますから、これに比べればヨーガの聖典群が如何に古くから文字にされていたかがお分かり頂けると思います。
キリスト教の聖書にしても、イエス・キリストがお生まれになられた年を紀元元年とする西暦によれば、今年が西暦2000年ですから、ヨーガはその倍もの 古い時代からインドで行じられていたことになりますし、イエス・キリストがベツレヘムの地に誕生された時には既に、書物になったヨーガの聖典が何冊もあっ たことになります。ヨーガの歴史の古さを改めて感じて頂きたいと思います。
では、そんなに古いヨーガの教えを伝える聖典には何が書かれているのでしょうか? 聖典というのは古いだけが取り柄なのではありません。それらの聖典は、今日まで多くの人たちが愛読してきた訳ですから、その中に書かれてあることは、何時 の時代でも、また何時の社会においても、それらの教えが役に立つほど貴重なものだったということです。

3千年以上という古い昔から役立てられてきている ヨーガの聖典には、一体何が書かれているのでしょうか? 読者の皆さんも知りたいと思われるでしょう? 
そこで今回は、それらヨーガの聖典の中に書かれてある内容をお話しすることにいたしましょう。そうすることで読者の皆さんも、かつて3千年もの長い間、 多くの賢い人々やヒマラヤに住まいされていた多くの仙人たちが役立ててきたヨーガの智慧を、 この現代においても役立てられるようになるからです。どうか以 下に書かれるヨーガの智慧に触れて、あなたも賢いヨーガ行者に変身してみて下さい。

 

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